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宿泊施設様のコンセプト変更・リニューアルオープンを成功させるには?コンサルタント目線で解説(前編)

 

 

こんにちは、NBSホテルマネジメントです。

私たちの仕事をわかりやすくご紹介する新企画「宿泊業界ノウハウの教科書」1回目はいかがだったでしょうか?3回目は、創業当時からNBSで10年以上コンサルティングを担当してきたベテランの黄瀬に、民宿から高級宿へとリブランドした、リニューアルオープンの事例を紹介してもらいました!

 

NBSホテルマネジメント コンサルタント

黄瀬 忠路きせ ただみち

NBSホテルマネジメント創業当時からのメンバー。コンサルティング部で長年施設様の集客をサポートしており、OTAを活用した売上増加やOTAの管理代行、自社予約比率の向上、現場オペレーションの改善から、販売プランや客室のタイプの見直し、キャッチコピーの作成など、施設・業務の種類を問わず幅広く対応してきた経験を持つ。

 

 

民宿から高級宿へリニューアル 
施設様の持つ深刻な課題とは

 

-今回ご紹介いたただくホテルと、抱えていた課題について教えてください

 

黄瀬 今回ご紹介する施設様は、とある漁港の近くにある1日数室限定の高級宿です。当該エリアは海の幸が有名で、特に冬のカニが名物です。施設様は少人数の家族経営で、以前は民宿として幅広いお客様をターゲットにしていました。数年前に大人向けの高級宿にリブランドし、リニューアルオープンしています。

 

施設様は民宿時代、周囲との差別化ができず売上が伸び悩んでいたため、客数を絞って売上アップをはかろうとハイクラスの宿への転向を決意されました。施設のデザインやコンセプトなどは施設様のほうである程度固められており、NBSは主にホームページの制作と売上向上の面でお手伝いすることになりました。

 

施設様の一番の悩みは「客室数を8室から4室に減らしたので、以前のような売上が維持できるのか?」ということ。このため、まずは年間いくらを売り上げる必要があるのか、利益が出るラインはどのくらいかを分析して確定し、そのうえで宿泊料金を設定しました。

 

具体的には料理を含む1名あたりの原価を考え、室料を加えて適正だと考えられる販売単価を決めました。また、最初に想定した単価が必ずしも正しいとは限らないので、オープンしてから変えていこう、というスタンスで始めました。さらに年間目標売上を設定し、目標稼働率も決め、4室で以前の8室の販売を上回るように調整しました。

 

季節による需要の格差については人件費を考えて予約をどの程度絞るかコントロールし、あえて単価を下げずに営業しています。お客様がいなければ休館することもありますよ。一方で繁忙期の料金をあげて売上を最大化し、需要がない時期をフォローしています。

 

 

 

利益がでる料金設定をめざし、
徹底的に自己分析

 

-0からの料金設定は難しかったのではないでしょうか

 

黄瀬 大きな悩みどころでした。高すぎるとお客様は入りませんし、低すぎると利益が出ません。このため、まずは施設様を徹底的に分析するために、競合となりうる数施設をピックアップしてSWOT分析を実施しました。SWOT分析というのは、自社の外部環境と内部環境をStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの要素で洗い出して分析する方法です。

 

具体的には、競合となる4施設様の口コミや特色、スペック、ターゲット層、朝食夕食の有無、駐車場や送迎、大浴場等の有無、販売単価などを分析しました。加えて施設様についても分析し、それぞれのポジションをマッピングしました。

 

 

-分析の結果、どのようなウリが見えてきたのでしょうか?

 

黄瀬 施設様の一番のウリは料理。なかでも冬のカニが最大のウリで、冬は繁忙期でほぼ満室になり高単価で集客できます。一方、カニのシーズン以外は需要が減ってしまうことが分かってきました。このため、カニに加え、カニ以外の魅力をウリとして発信していく必要性を感じました。

 

カニについては、施設様は民宿時代の名残もあり、カニを食べきれないくらい出していました。施設様は「料理に関しては満足して帰ってもらいたい」という強い思いをお持ちで、先代のころからのこだわりでした。

 

カニはそれなりのコストがかかるのでお客様に出す量を減らすというのも一案です。しかし、私たちの役目は「施設様がお持ちのスペック・満足度をいかに適正レート・適正稼働率で販売できるように持っていくか」。今回の施設様の場合、現状のサービス内容で単価も稼働もまだまだ伸ばせると思いますし、何より施設様のこだわりは維持したいと考えました。このためカニ料理のボリュームは維持することにしました。

 

ちなみにカニは冷凍保存をすれば通年で提供できるのですが、品質や鮮度が下がるために実施していません。

 

 

 

閑散期のリピーター造成へ 
建物自体も「ウリ」に

 

-冬のカニ以外のウリについて教えてください

 

黄瀬 施設様のウリである料理を活かすため、他のシーズンに取れる食材をアピールすることになりました。春にとれる別種のカニをアピールしたほか、夏の活イカなどの魚介類はウリのひとつです。このほかブランド牛もあるので、そうした他の食材もウリにしつつ、冬以外のシーズンを販売することにしました。

 

初年度は認知不足で苦戦しましたが、年を経るごとにリピーターが増え、「春の料理を食べてみたいから」などと冬以外にも来ていただけるようになってきました。口コミなどを見ると食事の質・量ともにお客様からの評価が高く、リニューアル後も新規のお客様が料理のファンになり、リピーター化しています。

 

 

-食べ物以外のウリはないのでしょうか

 

黄瀬 施設様のあるエリアは有名な観光地ではなく、観光客が少ないんです。そうした中で年間を通して稼働させるためのウリを作らなければなりません。その一つの答えが「建築」です。

 

施設様は建物のデザイン面にかなりこだわってリニューアルされました。おしゃれでデザイン性が強い施設なので周囲の施設と差別化できており、デザインにこだわりがある方なら一択だと思います。客室は全面ガラス貼りで景色が楽しめるようになっており、閑散期でも大きなウリになると思っています。

 

また、エリアに観光客が少ないことを逆手に取り、静かな漁港をはじめとした日本の原風景を落ち着いて楽しめる点もウリだと考えました。のんびりとした空気のなかで、日常を忘れて誰かとともにゆっくり過ごす滞在スタイルが大きなウリになりうると感じ、それを施設様と話し合ってブランディングに落とし込みました。

 

 

(後編)に続く>>>

 

 

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